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開き直りの小気味良さ

執筆者の写真: 森徳堂森徳堂

更新日:2019年12月10日

東海道新幹線に乗った。実に気持ちいい。


座席でもなければ、スピードでもない。そんなことはいつもと何も変わらない。気持ちいいのは車内放送だ。


いつからこうなったのだろう。東京出張で二か月に1回乗っていたのは今年の5月まで。それから半年間の間に様がわりしていた。


日本語の放送の後に英語で繰り返されるが、その発音がまったくいわゆるネイティブじゃない。日本語の発音で早口にまくし立ててプツッと終わる。


なんと気持ちいい放送かと感じた。小気味良いと言ったほうが正確かもしれない。


きっと英語をネイティブな言語として使っている欧米の観光客らは、なんだこの英語は、と思っているだろう。


だが、そんな流暢な発音で放送してもらったことが海外でどれだけあるか、ということだ。


そりゃ英語圏の国や、北欧のように流暢が当たり前の国ならそうだろう。しかし、フィリピンを除く東南アジアなど「流暢が何?」と開き直っている国は、母国語のなまりで平気に放送している。


日本は先進国だからそれではダメと言う人もいるだろう。だけど、どれだけ練習しても五十歩百歩なら、発音が悪くてと気後れして放送も会話もできないより、発音が下手で何が悪いと開き直ってバンバン話すほうがよほどいい。


発音が悪くて放送の内容が聞きとりづらいと言う外国人がいたら、言い返したらいい。「日本語習ってからこい」と。


日本人は海外旅行に出発する前に、殊勝にもよく使う英単語や現地語の単語を仕込んで準備するではないか。


日本人は英語の発音にこだわりすぎる。不思議なことだ。英語だって英国の発音と米国の発音とオーストラリアの発音はかなり違う。インドの公用語はヒンドゥー語と英語だが、英国、米国の発音とまるきり違うはずだ。


昔、オーストラリア人と話しているときさかんに「ギブ・ミー・ユア・ナイム・カード」と言ってきて何回も「ナイム・カード?」と聞き直したことがある。相手がジェスチャーを加えて説明したのでやっと「ネイム・カード(名刺)」とわかった。


インドネシア人は「パーハップス(perhaps、たぶん)」のことを平気で「ペルハプス」と発音するし、みんな自国なまりの英語で堂々と話している。


みんな「それが何?」と開き直っている。同じように日本人が開き直ってどこが悪い。



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