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執筆者の写真森徳堂

空腹な中国人観光客

更新日:6月13日

福島原発の処理水投棄問題で中国政府が日本産水産物の全面禁輸措置に乗り出した。

危険な日本の水産物を国民に食べさせるわけにはいかないということなのだろう。


科学的根拠のない批判であることは、周知の事実だからそのことはいい。

本当に危険なら日本を訪れる中国人旅行客の食べ物はどうするのか。


極めて不思議である。


自国に輸入するときに放射能検査でもして、安全が確かめられたら中国国内の流通にまわす。そうすれば放射能から国民を守れる。これは当たり前。しかし、日本に旅行に行く国民には、日本で水産物を決して食べないよう命じないと通りに合わないのではないか。


日本国内は放射能の安全性を確認していない水産物だらけだから、もろに危険にさらされるはずである。出汁や隠し味など、見た目にはわからないさまざまなところにも水産物は使われている。


「日本滞在中、中国から持っていった食品だけを食べるように」と指導したニュースはついぞ耳にしたことがない。水産物を主体に盛り付ける日本料理を中国人観光客は決して食べないとも聞いたことがない。


いったいどういうこと?である。


そんなことを考えながら会社の近くのラーメン屋に入ったら、隣の客は中国人カップルだった。ラーメン、餃子、鶏の唐揚げを注文しておいしそうに食べ、カウンター内の店員と中国語で楽しそうに会話していた。


あんたら日本の店で食べて不安じゃないの?どこかに日本産水産物が使われているかもしれないよ。あんたら中国人観光客に危険かもしれない食べものを提供して母国の政府にしかられないの?と聞きたくなったが、グッとこらえた。


中国人店員が当たり前のように中国人観光客に食事を出す。中国人観光客がなんのためらいもなく日本で食事を楽しむ。そんな様子を見て、なんだこれはと思わざるを得なかった。


中国政府は何のために日本批判を繰り広げているのか、迷惑電話を日本にかけてくる中国人はどんな人たちなのか。


不思議なことだらけである。





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