夜、通勤電車を降りて改札を出たらすぐにタバコの匂いに鼻をしかめることはないだろうか。
電車に乗っている間、タバコを吸いたくてウズウズしていたおっさんが、改札を出るのと同時に吸い始めたのだ。
前を歩くおっさんの右手に赤い光が灯って前後に揺れている。光を口もとに持っていって少しすると、大量の煙が舞いあがる。後ろを歩く者はその煙で全身をいぶされるというわけだ。
迷惑千万である。
朝、満員の通勤電車に乗ったらすぐにずらっと並んだスマホの壁に行く手を阻まれることはないだろうか。
家を出て歩いている間、スマホをいじりたくてウズウズしていたねえちゃんが、電車に乗るのと同時にスマホを立ち上げたのだ。
満員電車だから入り口付近は立ったままの乗客で混雑している。乗ったらできるだけ奥に詰めてもらわないと、足を踏み外して電車とホームの隙間に落下しそうだ。特に高齢の人たちは恐怖を感じているだろう。
迷惑千万である。
どっちがより迷惑なのか。おっさんは電車を降りてホームを歩き改札を出るまで自分の欲求を我慢している。屋外で煙をはけば他人にかける迷惑も少しはましだ。
ねえちゃんは改札を抜けてホームを歩き、電車に乗るまで自分の欲求をおさえている。ホームで歩きスマホをするより、電車に乗ってからいじり出せば他人にかける迷惑も少しはましだ。
うーむ、ここまではどっこいどっこいだ。
なら、そのあとはどうだ。
おっさんはタバコの吸い殻を道路に捨てる。ねえちゃんはスマホを閉じてかばんに入れる。
おっさんの負けである。携帯吸い殻入れを持ち歩き、吸い終わったタバコはそこに入れて持ち帰りましょう。
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